日本辞典の歴史

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いちばん古い辞典

日本で作られ、今も残っているいちばん古い辞典は、892年ころ(平安時代初期)昌住(しょうじゅう)という僧が編集したとつたえられる「新撰字鏡(しんせんじきょう)」という本です。中国の字書にならって作られたもので、漢和辞典の形をとっています。つづいては、935年に、源順(みなもとのしたごう)が作った「和名類聚抄(わみょうるいじゅうしょう)」で、「和名抄(わみょうしょう)」ともいいます。これも漢和辞典の形ですが、百科事典としての性質もそなえていました。
いろは順/五十音順

ほんとうの意味での国語辞典の最初のものは、1180年ころ(平安時代のすえ)にできたといわれる「色葉字類抄(いろはじるいしょう)」で、著者は橘忠兼(たちばなのただかね)という人です。この本は当時の日常語を集めて、それぞれのことばの、漢字を使っての書き表し方と、使い方とをかんたんにしめしてあります。ことばのならべ方は、「いろは順」になっています。
 現在のように「五十音順」のことばのならべ方をしている最初のものは、1484年(室町時代の中ごろ)に大伴広公(おおとものひろきみ)が作った「温故知新書(おんこちしんしょ)」です。
高まる辞典の必要

江戸時代になると平和がつづき、学問もさかんになり、教育も一般に行きわたってきたので、辞典の必要が多くなり、この要求にこたえて各種の辞典が出来ました。一般用の辞典として広く使われたものに、「節用集(せつようしゅう)」があります。この本は前の室町時代の中ごろ(1460年ころ)にできていますが、著者は不明です。その原本に、何人かの人がつぎつぎと手をくわえ、少しづつ内容の異なっている、いく種類かの「節用集」ができました。
 いずれも、「いろは引き」の国語辞典で、同時に百科事典のような性質をももっています。内容が簡単で引きやすいために、明治の初年まで、もっとも広く行きわたり、一般の人に親しまれた辞典となりました。
学問的・専門的な国語辞典

学問的・専門的な国語辞典として代表的なものには、「和訓栞(わくんのしおり)」「雅言集覧(がげんしゅうらん)」「俚言集覧(りげんしゅうらん)」などがあります。いずれも江戸時代後期にできた辞典です。
 「和訓栞」は国学者谷川士清(たにかわことすが)(1709~1776)の著書で、92巻という大部のものです。古語・雅言・口語を広く集め、出典と注釈をほどこした五十音引きの辞典です。刊行されたのは、前編が1777年~1830年、中編が1862年、後編は1877年(明治10年)、著者の死後じつに100年目めでした。
 「雅言集覧」50巻は国学者・小説家・狂歌師として活躍した石川雅望(いしかわまさもち)(1753~1830)の著作で、雅言(文語・古語)を集め、用例とその出典や意味をしめした、いろは引きの辞典です。古語の数の豊富なこと、用例・出所のしめし方の正確なこと、おどろくばかりです。この本も1826年、1849年に、あわせて3分の2が出版されたままとだえ、残りは1887年(明治20年)に刊行されました。
 「俚言集覧」26巻は、太田全斎(おおたぜんさい)(1759~1829)の著作といわれ、できた年は不明です。後の人が手を加えて、「増補俚言集覧」として刊行されたのは1900年(明治33年)です。「俚言」とは俗語のことで、この辞典は俗語・口語・ことわざを集め、五十音順に配列してあります。江戸時代の口語を研究するためには重要な書物となっています。
近代的な国語辞典

明治に入ると、外国のりっぱな国語辞典も紹介され、これに刺激されて、わが国の国語辞典編集の機運もさかんになりました。近代的な国語辞典のさきがけといわれるのは、1891年(明治24年)に刊行された大槻文彦(おおつきふみひこ)の「言海(げんかい)」です。
 以後、金沢庄三郎(かなざわしょうざぶろう)著「辞林(じりん)」1907年(明治40年)刊、新村出(しんむらいずる)著「辞苑(じえん)」1935年(昭和10年)刊、金田一京助著「辞海(じかい)」1952年(昭和27年)刊など、つぎつぎにたくさんの辞典が出ました。以上はおもに中型(1冊)の近代辞典です。
最大の国語辞典

大型辞典では、上田万年(うえだかずとし)・松井簡治(まついかんじ)共著「大日本国語辞典」4巻、1915年(大正4年)~1919年刊や、大槻文彦著「大言海」5巻、1932年(昭和7年)~1937年刊があります。
 また、1972年(昭和47年)から、1976年にかけて刊行された、日本大辞典刊行会編集「日本国語大辞典」は、全20巻、見出し項目45万語という、日本で最大の内容を持つ国語辞典です。2000年~2001年に改訂第二版が刊行され、見出し項目50万、用例数100万という、かつてない規模の国語辞典になりました。

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